Yasuhabitat

ー自分に還るための場所ー

シリア難民によるベルリンウォーキングツアーに参加して自分を振り返る

非営利団体Refugee Voices Toursが主催する、Why We're Here: A Walking Tour in Berlin(なぜ我々はここにいるのか:ベルリンウォーキングツアー)に参加してきた。 

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このツアー、結構前から興味を持っていたのだけれど、開催日である土曜日にバイトが入ることが多いのを言い訳に参加を先延ばしにしていた。もちろん、バイトは表向きの理由で、本当は知らない人たちの輪に飛び込んでいくのを躊躇っていたから。

 

でも、「怖がっていたらダメだよね」って思って、意を決して参加してきた。そしたら思いがけないメッセージを頂くことに。

 

ツアー概要

 

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15名程度のグループでベルリン市内中心部(Mitte)の歴史的スポット4箇所を徒歩で巡る。ベルリンの歴史とシリアの現状とを重ね合わせながら、タイトルにあるWhy we are here(なぜ我々はここにいるのか)を考える約2時間の旅。

案内してくれたのは、去年の5月にベルリンへ難民としてやってきたEyas Adiさんという男性。ちなみに私と同じ1988年生まれだそう。

 

つい最近、アメリカのABC Newsでも取り上げられたんだとか。

abcnews.go.com

ここからツアーの様子がよく分かる動画(英語)が見られるのでおすすめ。

 

ベルリンとシリアの共通点、とそこから私が考えたこと

 

ベルリンも暗い歴史をもつ都市ではあるけれど、シリアとの共通点という視点でとらえたことはなかったのでとても新鮮だった。

 

トポグラフィー・オブ・テラー(ゲシュタポ本部跡地)

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ここはナチスの残虐な行為が記録された写真を多数展示している。

 

ここでAdiさんは、言論の自由が認められていないシリアの現状を語ってくれた。

 

 ある日、村のとある子供がふとISを批判する発言をしてしまったらしい。それが「いけないこと」という認識すらないような幼い子供だという。子供なら誰しもが成長過程で犯してしまうような過ち。

 

でも、この一件は「子供の過ち」では済まされなかった。その子供は身柄を拘束されてしまった。さらにその親も捕まって、拷問を受け、結果として殺害されてしまった。

 

まさにドイツのナチス時代に起こっていたことが、歴史としてではなくて、現実として今日のシリアにはあるのだという。

 

 

チェックポイント・チャーリー

 

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ここは、第二次世界大戦後の冷戦期にベルリンが東西に分断されていた時に東西境界線上に置かれていた国境検問所。当時のベルリンでは、よりよい暮らし・よりよい将来を求めてこの一線を越えようとする人が大勢いたらしい。

 

シリア難民も一緒で、本当はシリアで平和に暮らしたいけれど様々な事情でシリアで将来を思い描くことができなくなった人が、文字通り命がけで起こした行動が「難民になる」という選択なのだ。

 

Adiさんも本当ならシリアで家族と一緒に平和に暮らしたいと言っていた。戻れるものなら戻りたいとも。でも、兵役の関係でこれ以上シリアにいると徴兵されてしまう。赤十字で働いていた彼にとって兵士として生きることは死と隣り合わせであること以上に、自分の信念を失う事でもあった。このような状況下で生きる為に難民としてドイツへ渡るという苦渋の決断をしたのだという。

 

この話を聞きながら、私は自分がアメリカで移民に興味を持ったきっかけを思い浮かべていた。

 

私は16歳(高校1年生)でアメリカへ行くまでずっと日本で学校生活を送ってきたのだが、基本マイペースで、みんなが好きなアニメ・漫画・アイドルには全く興味がなく、さらに体育や音楽が苦手(嫌い)だった。そんな変わり者の私には、ありのままの自分でいられる居場所がなかった。陰湿ないじめには遭わなかったものの、揶揄われたり、自分を分かってもらえなくて辛かった。入りたい部活なんてなかったし、体育祭や合唱祭などの学校行事の度に肩身の狭い思いをした。無理に話を合わせる術を身につけて友達の輪の中にはいたけれど、とにかく毎日がつまらなかった。

 

こんなバックグラウンドを抱えて渡米した私には、アメリカ生活は天国だった。カリフォルニア州サンフランシスコ郊外という場所柄、私の周りにいた人はアメリカ以外の国にルーツをもつ人(移民)ばかりだった。私は当初、「アメリカ人」にならなきゃと必死だった。周りの人に同化することでしか自分を保てなかったからだ。でも、私が思い描いていた「アメリカ人」という型なんて存在しなかった。みんな多様すぎたのだ。

 

移民は私に「自由に生きること」を教えてくれた大切な存在。Seeking a better life(よりよい生活を求める)のために起こした彼らの決意や行動(自国を離れること)がとてもかっこよかったのだ。生きることに本気な人たちだと思ったんだ。

 

もちろん、国際移住だけが本気で生きる手段ではない。ただ、移民に救われた私はやはり、過去の自分と同じように自分を殺して苦しい思いを抱えながら生きる人を減らしたいし、なんらかの形で生きる希望をくれた移民に恩返しがしたい。それが、「誰もが自分らしく在れる社会の実現」を目指す理由。

 

迫害から逃れるために止むを得ず故郷を離れる決断した難民。

発展途上国から先進国へビジネスチャンスを求めて移住する経済移民。

そして最近日本人や経済的に豊かな国の人に多くみられる、精神的豊かさを求めて別の地へ移り住む文化移民。

みんな、自分の人生を自らの手で創り出していくことに本気。

彼らのように自分の気持ちに真っ直ぐに生きるにはどうしたらいいのか?

彼らのために、私ができることはなんだろうか?

私と同じように苦しみを抱えて生きる人にできることは何だろうか?

 

こんなことを途中で考えながら歩いていた。

 

 

Why we are here?

 

ツアー全体を通して、

なぜ難民が生まれてしまったのか?

なぜ避難先がヨーロッパ(ドイツ、ベルリン)なのか?他のイスラム圏ではないのか?

なぜ今日こうやって話をしているのか?

という疑問に対する答えが散りばめられている貴重な時間だった。

 

とりわけ、最後のAdiさんがこのツアーに携わっている理由が衝撃的だった。

”I don't want you to let the fears control you and your life.”
(恐怖に自分と自分の人生を支配されないで欲しい。)

 

なぜなら、恐怖は全てを壊してしまうから。平和も、希望も、未来も、何もかも。ベルリンやシリアのこれまでを振り返ってもそれは明白でしょ?って。この言葉を聞いたとき、みんなの目がうるうるしてた。

 

めちゃくちゃ説得力がある。そして、恐怖を恐れて何もしないのはもっと怖いことなんだって思った。

 

そして、たいてい私が自分を見失って苦しむのは、怖がっているときだってことにも気づいた。否定されたり、傷つくことを恐れて、逃げているとき。

 

これで対処法が一つ身についた気がする。物事がうまくいかなくなったり、八方塞がりになったとき、防衛線を張るのではなくそこから一歩踏み出してみよう。怖いけれど。怖くてもやるんだ。

 

 

このツアーはシリア人にとってのWhy we are hereなのではなく、参加者を含めてのWhy we are hereなんだろうな、きっと。

 

 

 

怖がらないで、世界を変えていって欲しいという彼の想い。忘れずにいようと思う。

 

 

 

 

このツアーに興味を持ってくださった方へ

 

毎週土曜日の15:00〜開催されているので是非参加してみてください。案内してくれるシリア難民の方はご自身の経験を交えながらお話ししてくださいます。参加費は無料です(チップ制)。申し込みはFacebook経由で受け付けています。

https://www.facebook.com/refugeevoicestours

 

また、私もまだ参加していないのですが、デンマークコペンハーゲンでも同団体によるツアーが開催されています。

https://www.facebook.com/Rvoices.tours